面接官を「引き込む」ための3つの立ち回り

面接試験に臨むにあたっては、すでに言い尽くされていることではありますが、エントリーシートなどの事前提出書類が重要であり、面接試験の成否はこれらの書類の出来不出来にかかっていると言っても過言ではありません。
面接試験という特殊な状況下、しかも、せいぜい20分程度という限られた時間の中では、即興で自己アピールをすることなど不可能であり、エントリーシートを台本代わりにして自身の長所を面接官に伝える必要があるからです。エントリーシートは面接の台本であり、台本の出来不出来でステージの成否が決まる、当然と言えば当然のことかと思われます。

しかしながら、いかにエントリーシートがうまく書けていたとしても、それだけで面接試験をパスできない場合もあるでしょう。もしも本当にエントリーシートの出来が良いにも関わらず面接試験を突破できないとしたら、その原因は一つしかありません。面接官の「引き込み」が足りないからです。そこで今回は、面接試験における主要な3つのシーンにおいて、面接官の心を引き込むためのポイントをあげてみたいと思います。

1.自己紹介では「ラベリング効果」を狙う

面接試験は十中八九、自己紹介から始まります。ただの挨拶程度とはいえ侮ることなかれ。面接慣れしていない就職希望者は、だいたいのところ自己紹介で自沈するのではないかと思われます。
「策士策に溺れる」という諺がありますが、面接開始直後の自己紹介から勝負を仕掛けるのは非常にリスキーです。面接官のウケを狙ったエピソードを披露したものの、面接官が全くの無反応で頭が真っ白になった・・・面接試験における「あるある話」ではないでしょうか。

このような自滅パターンに陥らないために、あえて自己紹介では何も狙わないという安全策もありえますが、もしも可能であれば、「ラベリング効果」の活用にトライしてみてはいかがでしょうか。

ラベリング効果とは:例えば、母親が子供に「男の子(女の子)なんだから~~しなさい」と言い続けることで、子供は「男の子(女の子)らしい振る舞いをしなければ」と思い込むようになり、あるいは、上司が部下に対して「A君は仕事が丁寧だね」と言い続けることで、部下は自然と丁寧な仕事を心掛けるようになる、というようにコーチングの一手法として用いられることもあるようです。

自己紹介でラベリング効果を活用することにより、面接官にとっては初対面かつ無印象である自分自身に、「自分はこういう人間だ」というラベルを貼ることができます。うまい具合にラベリングに成功すれば、面接官はラベルによる先入観や印象にじわじわと影響を受けるでしょう。志望動機や自己アピールに説得力を与えるようなラベリングを工夫してみてください。

2.志望動機では「半信半疑」のヨロイを脱がせる

昨今では大学職員の公募採用の倍率が100倍を越えることも珍しくはなく、そうした事情は採用担当者も面接官もよく知っています。それだけの高倍率となる理由もだいたい分かるところです。

志望動機についてはエントリーシートを作成する時点で熟考に熟考を重ねていることと思われますが、面接官の心情としては、ある種の「疑念」を持たざるをえません。あえて大学職員を志望する理由、なぜ大学職員という裏方かつニッチな職業に目をつけたのか、そこに非常に不自然な「突飛さ」を感じるからです。

そこでまず、面接官が先入観として持っているこうした疑念を払拭しないことには、どれだけ真面目に志望動機を語ったとしても、半信半疑で受け止められてしまう、ということを理解しなくてはなりません。
志望動機そのものもモチロン重要なのですが、世の中に数多ある一般事務職の中からなぜ大学職員という仕事を志望するのか、その経緯(いきさつ)が不自然なものと感じられないように、細心の注意を払わなければなりません。

面接官は受験者に対して半信半疑であることが大前提。いかに志望動機に耳を傾けてもらうのか、その一点に成否がかかっています。

面接官は半信半疑であることを前提として面接に臨まなくてはなりません。半信半疑という鉄の鎧を脱がせないことには、どんな矢を放っても胸に突き刺さることはありません。
もしも面接官から「それって大学職員以外の仕事でもいいのでは?」という質問をされたら危険信号です。面接官があなたの志望動機に胡散臭さを感じている合図だと思ってください。そのような状態で力技での正面突破を試みたとしても、面接官は不埒な侵入者を先のステップへと通そうとはしないでしょう。

志望動機を「車」に例えるなら、車を走らせるための「道」を作らなくてはなりません。上で述べたことは、まさにその道路作りのようなものです。志望動機そのものはエントリーシートの執筆段階で完了していますから、むしろ面接試験で意識すべきことは、いかに面接官に話を聞いてもらうか、そのための工夫に尽きるということだと思っています。

3.自己アピールは「説得」ではなく「共感」を

面接試験において志望動機と共に重要視されるのが自己アピールです。すなわち、その大学のためにどのような貢献ができるのか、どのような部署でどのような職務を希望するのか、ということですね。既卒採用であれば前職との関連で説明するのがベターでしょうし、新卒採用であれば学生時代の勉強や活動と絡めて語れば自然だと思います。

その一方で、どれだけ話を作りこんだとしても、所詮は業界未経験者の素人考えです。業界知識はネットや書籍等で収集できたとしても、各大学の内部事情は知る術がありません。私自身の経験上、大学の諸課題を右にも左にも動かせない主要因は、大学の内部事情による部分が非常に大きいです。いくら合理性や理屈を語られたところで、「それで、内部事情はどうするの?」ということになるわけです。
したがって、面接試験における自己アピールでは、面接官を説得するような心構えではいけません。面接官の関心をよそに机上の空論を全力で語っても、面接官をこちらの話に引き込むことはできません。

ではどうするのか。

面接官の共感を得ることです。

面接官に自前の理屈を飲み込ませるのではなく、自分が感じている課題意識だとか問題の重要性について、面接官に共感してもらえばいいのです。
面接官も現職の大学職員ですから、解決策は持っていなくとも、様々な問題意識を日々抱えているはずです。面接官が抱えているであろう問題意識に「乗っかる」ことで、無理をせずとも共感を得ることが可能です。
そして、共感を得ることができれば、面接官を話に引き込むことができます。これこそが、面接試験を虚しい一人芝居に終わらせないための、非常に重要なポイントであると考えています。

一方で、課題意識を共有すると言っても、少子化のように誰もが知っている問題点を指摘しても世間話にしかなりません。一般事実からどのような問題点を切り出すか、そこがセンスの見せ所です。鋭い着眼点を示すことができれば、十分な自己アピールとなるでしょう。

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