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大学職員に「同一労働同一賃金」はありえるのか


8月3日に発足したた「第3次安倍第2次改造内閣」において、現政権でのチャレンジとして「働き方改革」が目標として掲げられました。働き方改革の観点は多岐にわたるのですが、その中で目を引く存在なのが「同一労働同一賃金」の実現です。
正規労働者と非正規労働者の給与格差の問題は、非常勤教職員を多数抱える大学業界においても無関心ではいられません。そこで今回は、立教女学院に対する雇い止め訴訟の判例を紹介しつつ、大学職員に同一労働同一賃金はありえるのかを考える機会にしていきたいと思います。

事案の概要(立教女学院雇い止め訴訟)

当裁判の概要は以下のとおりです。判決文を要約します。

原告は平成13年6月29日から派遣労働者として立教女学院短期大学部事務部総務課で就労したあと、平成16年6月1日から1年間の雇用契約で嘱託職員に採用され、その後2度にわたって契約が更新されたものの、平成19年5月31日をもって以降の契約更新がなされなかった。

原告の請求は以下の2点である。
1) 客観的に合理的な理由のない雇い止めであり、地位の確認及び雇い止め後の賃金の支払いを求める。
2)さらに、専任職員と同等又はそれ以上の業務に従事していたにもかかわらず、その賃金の点で著しい格差があり、損害賠償請求として当該賃金差額相当分の支払いを求める。

判決では請求の1つ目(地位確認と雇い止め後の給与支払い)が認められたため、メディアでは原告勝訴として報じられました。

「理由なき雇い止め無効」元嘱託職員が勝訴 東京地裁(朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/08016/TKY200812260292.html

一方で、専任職員との賃金格差については請求を棄却され、認められませんでした。

専任職員との賃金差額相当分の支払いが却下された理由

すこし長いですが、判決文から該当部分を抜粋します。読みやすいよう、多少の修正は加えております。

原告は専任職員と同一又はそれ以上の責任のある業務に従事し、その勤務形態及び業務内容が専任職員と同一であったにもかかわらず、立教女学院は嘱託職員である原告に対し、専任職員と比して著しく低い賃金しか支給しなかったところ、このような取り扱いは、労働基準法が禁止する労働者の社会的身分を理由とする差別的な取り扱いに当たり、また、公の秩序となっている同一労働同一賃金原則に違反すると主張する。

しかしながら、専任職員と嘱託職員という雇用形態は労働基準法の定める「社会的身分」には当たらないと考えられ、このような雇用形態の違いからその賃金面に差異が生じたとしても、同法に違反するということはできない

また、我が国においては、未だ、長期雇用が予定されている労働者と短期雇用が予定されている有期雇用労働者との間に単純に同一労働同一賃金原則が適用されるとすることが公の秩序となっているとはいえない

前述のとおり、立教女学院においては、専任職員は長期雇用が予定されているのに対し、嘱託職員は短期雇用が予定されているところ、専任職員の場合には、長期雇用を前提に、配置換え等により種々の経験を重ね、将来幹部職員となることが期待されており、これを受け、その賃金体系についても、年功序列型賃金体系、すなわち、労働者の賃金がその従事した労働の質と量のみによって決定されるわけでなく、年齢、学歴、勤続年数、企業貢献度、労働者の勤労意欲の喚起等が考慮され、当該労働者に対する将来の期待を含めて決定されている以上、このような観点から嘱託職員の賃金との間に一定の差異が生じることはやむを得ず、原告の主張するような賃金の差異があるからといって公の秩序に反するということはできない。

原告は専任職員と嘱託職員の給与格差について、労働基準法違反、さらに、公の秩序にも反すると訴えましたが、裁判所はいずれの理由も退けました。
このことを言い換えるならば、現在の労働基準法は専任職員と嘱託職員の給与格差を禁じておらず、また、社会通念(人間社会における暗黙の了解事項)にも反していない、ということとなります。
今後、労働基準法の法改正、あるいは、日本社会の労働観が抜本的に変わらない限り、同様の訴訟を起こしたとしても、訴えが認められることは、まず無いでしょう。

大学職員に「同一労働同一賃金」はありえるのか

大学の中では、有期雇用の教職員が多く働いています。従来から多いのが非常勤講師。そして、昨今増えつつある嘱託職員(契約職員)です。

非常勤講師は担当授業で講義をするのが仕事ですから、少なくとも外見上、専任教員と同じ仕事をしています。その一方で、教授会や各種の校務、また、研究活動などは、非常勤講師の業務の中に含まれておらず、さらに、非常勤講師はコマ単価で賃金計算がなされるため、専任教員との処遇の違いについて、単純に比較することはできません。(なお、非常勤講師と言っても、ある大学の専任教員が他大学で非常勤講師として講義を持っているケースもたくさんあります)

一方で、嘱託職員と専任職員の業務の違いは、大学教員ほど明確ではありません。嘱託職員も専任職員も同じ始業時間・終業時間で働き、同じオフィスで机を並べて働いています。当然、ある時間帯に限れば、嘱託職員と専任職員が同じ仕事をしているということもあるでしょう。また、新たに採用された(または他部署から異動してきた)専任職員が、特定業務においてベテランの嘱託職員よりもスキルが劣る、ということもありえるでしょう。
また、専任職員どうしであっても、年功序列による年齢間の賃金格差があります。課長職よりもヒラ職員の方が高収入というケースもザラにあります。この場合、嘱託職員と専任職員の違い以上に、賃金格差の説明は困難となります。
さらに、派遣職員に関しては、仮に全く同じ仕事をしていても、派遣元が異なれば時給も違いますし、同じ派遣元であっても契約時点によって時給が異なるという場合もあります。

上記のとおり、大学組織の中では賃金にまつわる不平等の可能性が多分にありうるわけですが、嘱託職員と専任職員の間で同一労働同一賃金を実現するためには、おそらく専任職員に関する厳密な能力主義給与体系の導入が前提になるのではないかと思います。たとえば、30歳と40歳の2名の専任職員と同じ業務を嘱託職員が担当した場合、どちらの専任職員の給与に合わせるのか・・・というような問題が、いろいろと生じてくると考えられます。もちろんこの問題は、日本の全ての年功序列型賃金体系について、同じことが言えるわけです。

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紹介予定&派遣求人給与ランキング(9月13日)

9月13日付けの紹介予定&派遣求人の給与ランキングは以下のとおりです。
トップは東京女子医科大学の1820円で、医療事務経験者の募集です。次点は中央大学の1550円、慶應義塾大学の1500円と続きます。こちらは特別な応募資格は不要となっています。
関西方面では立命館がちょこちょこと時給を変更していますが、今回はやや好条件かと思います。

なお、勤務先非公開求人には好条件による募集がありますので、下記リンクも参照のこと。
都心・関東近県の求人情報(勤務先非公開含む)
近畿地方の求人情報(勤務先非公開含む)

1820円:東京女子医科大学(医療事務経験者)
1550円:中央大学
1500円:慶應義塾大学
1470円:東京女子医科大学
1420円:早稲田大学
1400円:東京理科大学
1400円:立教大学
1360円:順天堂
1350円:関西学院(TOEIC750以上)
1300円:法政大学
1250円:関西学院
1200円:同志社(紹介予定)
1150円:立命館(紹介予定)

東京・大阪以外の地方都市なら《テンプスタッフ》が充実(「学校法人」で検索してください)

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